スポーティなスタイリングで一世を風靡

 
 

軍用車から始まり、不整地での作業車として使われてきたクロスカントリー4WDに、プレミアムな価値観を生み出したのが、1970年に登場したランドローバーの「レンジローバー」だ。それから40年余り。2012年に日本デビューを果たした「レンジローバー イヴォーク コンバーチブル」は、よりカジュアルに、スポーティに楽しむことをコンセプトとしている。全長4.5mを切るショートボディのスタイリングは、"4WDのスポーツカー"という表現がぴったり。その後、低く流れるようなキャビンを備え、クーペらしさを強調したSUVが続々登場するきっかけとなった。

最大渡河水深50㎝のオープンカー

それでも「レンジローバー イヴォーク」が数多のフォロワーと明らかに異なるのは、4WD専門ブランドとして長い歴史をもつランドローバーならではの、優れたクロスカントリー性能にある。砂地、雪道などさまざまなシーンに応じてモードを切り替えられる電子制御4WD「テレインレスポンス」のスムーズな操作性に始まり、最大渡河水深、つまり水に浸かっても問題なく走れる深さが50㎝までという「本物」の機能を、極めてモダンなデザインでパッケージングしたところに価値があるのだ。そして、このたび日本に導入されたコンバーチブルは、さらに一歩進んだ世界を切り拓いた。すなわち、3ドアクーペの屋根を取り去り、SUVならではの高い視点でオープンエア体験ができること、そのギャップを乗り手ならずとも一瞥して楽しめるという唯一無二の魅力である。

固定観念から解放されるドライブ体験

屋根がないぶん、ボディ剛性はわずかに緩さを感じるし、キャンバストップを収納する都合上、ラゲッジルームはSUVとは思えないほど狭いが、だからといって機能やパフォーマンスに不満を述べるのは野暮である。むしろ、この"非常識"を存分に満喫するために、ラグジュアリーな装備には徹底的にこだわりたい。インテリアの素材やカラーは英国ブランドならではの豊富な数を揃え、自分だけの1台を作り上げることができるし、クルージングを楽しむなら音楽も切り離せない要素だ。標準装備のサウンドシステムは10個のスピーカーとサブウーファーが付くメリディアン製。オプションをオーダーすれば、スピーカーを12個に増やすと共に、出力も増強できる。理想のキャビンを作り上げたら、さっそくキャンバストップを開けよう。寒い時期はごく短時間でも構わない。そして「クルマはこうでなければいけない」という固定観念から解き放たれたとき、本当の豊かさを知ることができるはずだ。

 
 


〈ランドローバー・レンジローバー イヴォーク コンバーチブル〉
全長×全幅×全高:4385×1900×1650㎜
車両重量:2020kg
排気量:1998cc
エンジン:直列4筒DOHCターボ
最高出力:240PS/5500rpm
最大トルク:340Nm/1750rpm
駆動方式:4WD
トランスミッション:9AT
価格:765万円(税込)
(問)ランドローバーコール ☎0120-18-5568

この記事の執筆者
TEXT :
櫻井 香 記者
2018.2.11 更新
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。