クアトロポルテ「グランルッソ」
クアトロポルテ「グランルッソ」

色気のあるトリムオプションが登場!

クアトロポルテ「グランスポーツ」
クアトロポルテ「グランスポーツ」

マセラティは2013年に新型サルーンの「ギブリ」と「クアトロポルテ」を発売して以来、日本でも好調な売れ行きを示している。精緻な作りとドライバーに余計なストレスを与えないドイツ製サルーンに慣れ親しんだ紳士が、より刺激的なこのイタリア製サルーンへと触手を伸ばしつつあるのだ。ひと昔前とは比べものにならないほど品質と信頼性が向上し、そのうえフェラーリで生産されるエンジン(開発はマセラティ)を積むとなれば、人気が出るのも当然だ。もっとも、コストを度外視しているとしか思えない豪奢な内装を誇った90年代のマセラティと比べれば、少々物足りない気はしていた。それが今回、「クアトロポルテ」において、フェイスリフトを中心とした外観デザインの変更と併せて導入された2種類のトリムオプションによって魅力を増したのだ。


ドアを開ければエルメネジルド ゼニアのシルクが!

クアトロポルテ「グランルッソ」
クアトロポルテ「グランルッソ」

トリムオプションのひとつ、「グランスポーツ」は外観にハイライトを利かせたうえで、足元を20インチの大径ホイールで引き締めている。そして内装は体をしっかりとホールドするスポーツシートに加え、ハイグロス仕上げを施したブラックのウッドトリムやカーボンファイバーorフルレザー仕上げのステアリングなどが盛り込まれている。もうひとつの「グランルッソ」はラグジュアリー志向。外観はおとなしめのフィニッシュでまとめつつ、内装ではエルメネジルド ゼニアによるシルクをあしらったコンビレザーシートが目を引く。強度や耐久性を考慮して密度を高めたシルクはドアや天井の内張り、サンバイザーにも使われていて、その美しい織りは、ポルトローナフラウの張りのあるレザーと見事にマッチしている。肌触りは見た目以上にしっかりしていて、それでいてシート部分は体を優しく支えてくれる。プレミアム・サルーンではレザーとウッドの分量を増やすのが常套手段だが、そこにあえてシルクをもってくるところにイタリアの粋を感じる。どちらのトリムオプションもプラス100万円ほどでアップグレードできるのだが、サルーンの「クアトロポルテ」には、断然「グランルッソ」が似合うと思う。なお、今回の改良ではタッチコントロール式高解像度ディスプレイを装備した新しいインフォテインメントシステムを採用したほか、先進の安全機能パッケージも標準装備。類まれなる色気に、さらなる利便性が加わった。

 
 
写真2枚ともクアトロポルテ「グランルッソ」
写真2枚ともクアトロポルテ「グランルッソ」

スポーツカーのダイナミズム、ここにあり

グラントゥーリズモ
グラントゥーリズモ


今回の取材では、2ドアスポーツクーペの「グラントゥーリズモ」(スポーツ)にも試乗することができた。現行型が登場したのは2007年で、そろそろ次期型がささやかれるモデルだが、コンソール周辺のデザインにいささかの古さを感じさせることを除けば今でも十分通用するどころか、ロングノーズの古典的なスポーツカーの艶のあるスタイリングは、道行く人の心を捉えて離さない。しかも最高出力440馬力のV8エンジンはわずかにアクセルを踏み込むだけで官能的な音色を奏で、走行モードを「スポーツ」に変更することで、その快感は最高潮に達する。街中の、しかも渋滞しがちな道での試乗だったが、そんな悪条件でもスポーツカーのダイナミズムを味あわせてくれるクルマはそうはない。気障であることを隠そうともしない潔さが似合うのは、大人の男だけである。

グラントゥーリズモ
グラントゥーリズモ

〈マセラティ・クアトロポルテ S 〉
全長×全幅×全高:5270×1950×1470㎜
車両重量:2000kg
排気量:2979cc
エンジン:V型6気筒DOHC
最高出力:410PS/5500rpm
最大トルク:550Nm/1650~5000rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:8AT
価格:1406万円~(税込)

〈マセラティ・グラントゥーリズモ スポーツ〉

全長×全幅×全高:4881×1915×1353㎜
排気量:4691cc
エンジン:V型8気筒DOHC
最高出力:460PS/4750rpm
最大トルク:520Nm/4750rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:6AT
価格:1830万円~(税込)
マセラティ コールセンター ☎0120-965-120

この記事の執筆者
TEXT :
櫻井 香 記者
2018.1.30 更新
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。