重厚にしてパワフル! テスラ「モデルX」には刺激が満載だ 

 
 

優雅に開くオートドアを装備

EVならではの加速を満喫できる

広い室内は視界も抜群にいい。フロントガラスは頭上に達するほどの広さで、現在生産されているクルマのなかで最も広い面積だという。外の景色を存分に楽しめるコクピットでアクセルを踏み込むと、キュルキュルというモーター音を発しながら、滑らかに加速していく。回生ブレーキによる、アクセルを離したときの強い減速感はEVならではのものだが、踏み込み量に応じてぐんぐんと加速する様は実に爽快。2.5t近くもある車重が気になることは皆無で、それどころかバッテリーを床に敷き詰めた低重心設計でコーナリングの安定感もすこぶる高い。なお、3列7人乗りのボディは全長が5mを超え、全幅もドアミラーを格納した状態で2m強。狭い道では取り回しに気を使いそうだが、コーナーセンサーが積極的に反応するので、慣れてしまえば問題ないだろう。

「モデルX」には非現実的な面白さがある

どっしりと安定感があり、プレミアム・サルーンに匹敵する滑らかな乗り心地を堪能しているうちに、近未来を描いた映画やアニメに登場する、アンドロイドやサイボーグを思い浮かべた。見た目は人間そのものなのに、恐ろしいほどパワフルで俊敏に活動する一方で、機械でできているために体重は恐ろしく重い。あくまで設定上の話だが、「モデルX」に乗っていると、そんな未来の乗り物、機械の姿が思い浮かんでくる。われわれが遠い先の話だと思っていたことが、目の前にあるという非現実的な面白さ。テスラが生み出すEVは、アップデートを重ねて精度を増した、高速道路上で車線変更も行なう運転支援システムの快適さも含めて、とても刺激的だ。

〈テスラ・モデルX  P100D〉

全長×全幅×全高:5037×2070×1680㎜
車両重量:2468kg
モーター最高出力:前263PS/後510PS
駆動方式:4WD
価格:1611万2000円(税込)
問い合せ テスラモーターズジャパン  TEL:0120-982-428

この記事の執筆者
TEXT :
櫻井 香 記者
2017.7.5 更新
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。