What's "MEN'S Precious"

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2017年03月22日

みんなの渋カジ

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MEN'S Preciousでも活躍されているファッションジャーナリストの増田海治郎さんが、初の著作を発表されました。その名も『渋カジが、わたしを作った』(講談社)。渋カジ直撃世代の1972年生まれながらも、埼玉県の田舎町で生まれ育った〝なんちゃって渋カジくん〟だったと告白する増田さん。この本は、そんな彼が25年にわたって溜め込んだ、渋カジに対する憧れや興味、そしてルサンチマンまでも発散するような・・・そんな超力作でした! まさか田中の律っちゃんまで引っ張り出すとは・・・アンタすごすぎるよ!


律っちゃんに代表されるように、本来の意味での渋カジってのは、1980年代後半に巻き起こった、東京生まれの育ちのいい坊ちゃん嬢ちゃんによるアメカジムーブメントなわけです。しかし1976年生まれ、そして増田さんの地元にも近い埼玉県の郊外で育った僕の場合、律っちゃんを渋カジと認識することはありませんでした。そういう人間たちの存在をはじめて認識したのは、おそらく1991年くらい、江口洋介のブレイクからだったように思います。


なんというか、僕にとっての渋カジとはもっと小汚いものだったのです。たとえるなら『スラムダンク』の鉄男とか、初期の『電波少年』に登場するチーマーとか、ああいうの。ショットのライダースジャケットにエヴィスあたりのジーンズをはいて、足元はトニー・ラマかレッドウイング。バンダナを六厘舎の大将みたいに巻いて、川越とか大宮の駅前にたむろって、ジーンズ狩り・・・。怖かったなあ。よく考えたら地方都市にいる時点で渋カジじゃないんだけど、1993年あたりには坂戸とか霞が関みたいな「急行しか停まらない」駅にもチーマーがいたもんね。しかも、彼らに憧れていた僕の場合はさらにショボくて、ショットは買えないから、2万9000円の「ギリギリ本革」ライダース。ヴィンテージもエヴィスも買えないから、リーバイスの復刻503。レッドウイングも買えないから、ホーキンスかウォーカーのエンジニアブーツ(以上すべてアメ横で購入)。仕上げは川越サンロードの露店で買ったインディアン風アクセサリー・・・(涙)。こうやって書いてると地域間格差をビンビン感じるなあ!

そんな僕にとってのこの本は、当時の憧れがギュッと詰まった、そして自らがやらかした赤面モノのファッションを思い起こさせる、嬉し恥ずかしの一冊でした。ちなみに一番恥ずかしかったのは「デルカジ」ね。中学3年生のとき、ジーンズメイトで買ったジーンズの上下に、父親のクローゼットから拝借した紺のジャケット(スーツの上着)とレジメンタイで、即席デルカジを気取っていたからなあ・・・。


というわけで、100人いれば100人の渋カジがある。あなたはこれを読んでどう思いましたか?

2017年02月05日

本気サルエル個人別注計画

いつだって公私混同を旨とする私が、
モロッコに行ってただファッション撮影だけして
帰ってくるわきゃありません。
そこにはひとつの崇高なる
プロジェクトがありました。


その名も・・・
本気サルエルパンツ個人別注計画!

きっかけはこちら。
実は一昨年の12月、
はじめてモロッコ旅行したときに
地元のオジサン向けテーラーで買った
サルエルパンツです。
サルエル=モードという固定概念があり
今まではいたことはありませんでしたが、
なるほど確かにサルエルといえばイスラム教国家で
伝統的にはかれているデザイン。
つまりこれもひとつのクラシックだな、と。

f067c6f73b2e54d468e2f032bc450b6b.jpg1200円程度で生地もヘロヘロなのに
なぜだかこれがとんでもなくお洒落。
昨夏NO.1のヘビーローテーションだったのです。

て、ことは・・・
これ、秋冬モノでいい生地使ったら、
めちゃくちゃ格好いいパンツができるのでは?
そう目論んだ私は、今回のモロッコ行きの荷物に
カノニコのスーツ用フランネルを忍ばせ、
マラケシュのテーラーさん
(といってもスーツではなく民族衣装専門)に
特攻(ぶっこみました!
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テーラーさん曰くこのパンツ、
「モロッコで昔からあるような形だけど、
最近はあまりはいてる人はいないかな」とのこと。
確かに街でこれをはいているのは、
かなり高齢の方だけでした。
お仕立て価格は600DH(7000円程度)。
現地の感覚でいうと、かなり高価な部類に入ります。
(だって以前別のお店で買った
既製品が1200円程度なのだから)

急いでいたので値切り交渉などはしませんでしたが、
本当はもっと安くなるかもね!

そして・・・
発注からたったの3日で完成しました!
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これは・・・いいっ!!
当たり前ですが上等な生地を使うと、
ドレープがきれいに出るんだな〜。

L1005717 のコピー.jpgウエストの背面にはゴム入り。

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グレーフランネルの上からではよく見えませんが、、
ウエストやポケット周り、
すその周りに施した凝った飾りステッチ。

L1005721 のコピー.jpg素朴な手かがりによる
ボタンホール。

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とんでもなく凝ったパターン・・・。

職人さんいわく
「3日間これだけ一生懸命に縫った」というだけに、
かなり気合いの入った作品になっております。
値切らなかったのは正解かもしれませんね!?


では早速はいてみましょう!
L1005741 のコピー.jpgL1005751 のコピー.jpgモードでおなじみの
サルエルパンツの、
源流とも言えるクラシックなデザインと
高級テーラー御用達の
イタリア製フランネルの融合・・・。

手前味噌ですが
ほかのどこにもない
モードでクラシックでエスニック
傑作パンツが
生まれたのではないか?と。

うーん。製品化してみたいなあ・・・。
だれかほしい方、いませんか?

 





















 

 

 

 

 

profile 山下英介

MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者 の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。