続きまして第2弾は、

グロヴァオールのダッフルコート

『モンティ』です。

もともと海軍の制服として採用されていた

こちらの由緒正しきコートは

(詳細は冬号P54を参照!)

60年代、80年代、90年代にそれぞれ

大ブームを巻き起こしていることもあり、

メンプレ読者ならば誰もが一度は

袖を通したことがあるのではないでしょうか。

もちろん76年生まれ、

渋谷系直撃世代の私にとっても

とても特別な1着。

忘れもしません。

"ミューズ"緒川たまきが着ていた

赤いヘリンボーンのダッフル。

(J&Mデヴィッドソンだったかな?)

そして"王子"小沢健二が着ていた

ジェネラルリサーチのダッフルを・・・。

フロントトグルじゃなくてベルトなのが、

ジェネラルリサーチのダッフルの特徴。流行ったなー。

そう、ダッフルコート。

それは文科系男子と女子だけに

許された"聖域"。

ブラッド・ピットが、

もしくはEXILEがこれを着るか? 否!

精神がヒョロイ、

いやナイーブな男女にしか

その魅力は響かない、

魔法のコートなのですから・・・!

そんな具合に、

オラオラ系ファッションカルチャーとは

隔絶したところがダッフルコートの魅力ゆえ、

野暮ったさもまたよし。

しかしあえてお洒落にこのコートを着こなすなら

キーワードは「軽さ」

ひと言に尽きるでしょう。

そう、メルトン素材といい

ボリューミーなシルエットといい

非常に重厚感のあるコートですから、

ダッフル自体の色、または着こなしで

軽快さを醸すのがその鉄則なのです。

そういった意味で考えると、

ブラックやグレー、ネイビーといった

ベーシックな色は

メルトン素材の場合、着こなす上では

逆に難易度が高いかもしれません。

これらダークカラーのダッフルなら

ヘリンボーンやカシミアといった

リッチな素材から選ぶのがよいでしょう。

というわけで、

安パイならキャメル

もっと上を行くなら

オレンジレッドといった

明るい色目にチャレンジすることを

私はおすすめします。

で、お次は合わせるパンツですが、

なんと言っても

ホワイトジーンズが鉄板です。

それもスリムシルエットを短丈で、がマスト。

これだけでダッフルコートスタイルに

フレンチトラッド的な"洗練"が宿ります。

これ以外では、タータンチェックの

ウールスラックスあたりが狙いめですね。

ちなみについ合わせがちなブルージーンズは、

こだわりのヴィンテージデニム

合わせるダッフルがオレンジか赤

上記どちらかの条件を満たしていない場合は

避けた方が無難です。

デニムって、何にでも合うようで

意外と難しいんですよね・・・。

そして靴。

これはオールデン、

JMウエストン、

チャーチあたりの

ぽってりとした革靴がバランス良好。

グッチのビットモカシンも洒落てます。

誌面ではJMウエストンから、

カーキとベージュのコンビの

『ゴルフ』を選んでおります。

ロングノーズの艶っぽい靴とは

見事なまでに似合わないところが

このコートの性格を表現していて、

個人的にはちょっと嬉しいですね。

インナーは

薄手のシャツやニットでは

コートの存在感に負けてしまいますから

ローゲージのニットがいいですね。

これもちょっと色味の

派手なものがよいでしょう。

最後に小物ですが、

これもちょっと色味の効いたものを

合わせたいですね。

私のスタイリングでは

靴下、ベルト、傘を

コートのキャメルやデニムのホワイトと

相性のよい、オレンジに統一しています。

この色、一見派手に見えますが、

茶色の延長線上で使えるため

意外なほどに取り入れやすいのです。

というわけで、いかがでしょうか。

ちょっとレトロだけど

決して野暮ったくはない、

現代のフレンチトラッドスタイルが

完成したのでは?

ああ、できれば大学生のときに

こんな格好でプラダの靴を

買いに行きたかった!

2012年の小沢健二復活ライブを

ヤフオクにて○万円で競り落とした

渋谷系重症患者は

いまだに悔やんでいるのです・・・。

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
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